おしゃべりな脳みそ

脳内が多動

変えられたチャンネル

テレビで有名人の妊娠の話題が始まると、夫が即座にチャンネルを変える。

私が治療していたのは「身体的に可能性がゼロになった未来で後悔しない為」という部分が大きかったし、うちの場合、子どもを強く望んでいたのは夫の方だった。ただこれは、治療を終えてから気付いたことだった。

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治療中は方々に気を使って通院スケジュールのことで頭がいっぱいだったし、薬飲み忘れたらジ・エンドだし、人生で一番痛かったし、カテーテル入らなくて気絶するし、夫の気持ちに寄り添う余裕があるはずもなかった。

そんな中でも、私には「産むのも育てるのも大変なことで、子どもができた=ハッピー!というわけにはいかないんだ」という感覚が、不妊治療してた頃から常にあった。強がりとかではなく大真面目に淡々と、そう思っていた。今もそれは変わらない。

子どもがいりゃーいいってもんではないでしょう、今の日本で子を育てるの、あらゆる面でどう考えてもしんどすぎる。その前にそもそも体力ないし、まぁ私の場合、体力つけようなんて気もさらさらないんだから、お前何言ってんだって感じですが。

でも多分それを含めて考えても、夫は自分の子どもが欲しかったんだろう。私も君が子どもをあやしたりなんかするのを見たかったよ、本当に。君は溢れるほど愛情注いで子育てしただろうし、きっといいお父さんになったと思う。犬との接し方を見ていて感じる。(犬と一緒にすんなって怒られそうだな〜一緒だとは思ってない〜)

誰かの妊娠の話題にいちいち傷付いてる夫を見るのは、胸が痛い。

いや、産んであげられなくてごめんみたいな後ろめたい気持ちは、申し訳ないけど微塵もない。私悪くないし。

夫に傷付いてほしくない。ただそれだけ。でも多分これからも、それは続く。

だからせめて私が夫を傷付けることのないように、大事にしよう。その為に、夫が大事にしている色んな記念日を忘れないように気を付けよう。他愛もない日々を慈しもう。

変えられたチャンネルを見ながら、ぼんやりそんなことを考えていた。