知らないところでいい

ここ2、3年、長い付き合いの友人の言動に、違和感をおぼえることが増えた。

私は彼女に助けてもらった過去に大きな恩義を感じていて、特に社会人になって精神的に落ち着いてからは、恩を返すことを意識して接してきたつもりだった。今考えると、時に過剰サービスな私と彼女の関係は友人と呼べたかどうか、という部分もあったように思う。

私は生活できるだけの収入を得るようになって、不安とそこそこ上手く付き合えるようになったし、物事の捉え方が大きく変わった。最悪の事態は常に想定しつつも、どうにかなるよと楽観的に。

同時に、多くの理不尽に遭遇した友人の物事の捉え方は、私とは別の方向に少しずつ変わっていった。「楽しんだもん勝ち」「楽しまなきゃ損」と好戦的に。結婚出産と離婚を経て、生活も大きく変わった。

そして、私たちの間には深い溝ができた。「楽しんだもん勝ち」に嫌悪感を抱いた時点で気付くべきだったかな。いや、大事に思ってたからこそ、そんなに簡単に片付けたくもなかったんだよな。

他人のあれこれが気になって常にイライラしている彼女の気持ちに共感できないながらに、なんとか絞り出して返事をすると「それ〇〇にも言われた笑」「みんなそう言う」そんな言葉が返ってきて、同じ愚痴を一体何人に話しているんだろうと思うと、真剣に返答を考えるのがバカらしく思えた。

彼女への返信は疎かになり、返信していないことすら忘れるようになった。

イライラの共感を集めずにいられないくらい不安なのかもしれない。正直、彼女の現状を考えると、好戦的になるのも不安定になるのも無理はないと思う。それに、私の母も似たような共感集めをしている。別に特別なとこではないんだろう。私は頑固者だから、多くの共感を必要としないというだけで。

ただ、最近気付いたけど、楽しむのって体力がいる。私は楽しめない時があるのは普通のことで、そういう時があっていいと思っている。もはや価値観が違いすぎるし、正直しんどい。

私も変わったし、彼女も変わった。これは仕方のないことで、どちらかが望まない以上は無理に時間を共有する必要はない。

人はずっと同じではいられない。

単なる食事の誘いに、夫にも相談するほど気が重くなってしまって、もうやめにしようと思うに至った。距離を置くほかない。

今の彼女を、今までのようには大事にできそうにない。

元々腐れ縁みたいなところが大きいから、いつかまた楽しく過ごせる時が来るかもしれない。

彼女がとても努力家であることを私はよく知っているし、どうか幸せでいてほしいと願っている。

ただそれは、私の知らないところでいいな。と今は思っている。